モネはなぜ積みわらを何度も描いたのか?連作《積みわら》の見方

モネはなぜ同じ積みわらを何枚も描いたのか。ジヴェルニーの自宅のそばの畑で、季節と時刻ごとに変わる光を追った連作を、シカゴ美術館が所蔵する6点と、1891年に15点を並べた展覧会から解説します。

Art4編集部読了 5分
モネ《積みわら(夏の終わり)》。夕方の光を受けた畑に、左の小さな積みわらと右の大きな積みわらが並び、奥に丘が続く
クロード・モネ《積みわら(夏の終わり)》、1890–91年、シカゴ美術館(1985.1103)。Wikimedia Commons/シカゴ美術館、CC0

モネは1890年から91年にかけて、自宅のそばの畑に立つ積みわらを何枚も描きました。形がほとんど変わらない対象を置いておけば、季節、時刻、天気で変わる光と色だけを描き比べられます。1891年5月、モネはそのうち15点を一部屋に並べて展示し、評価と売れ行きの両方で大きな成功を収めました。

なぜ同じ積みわらを何度も描いたのか

モネが積みわらを繰り返し描いたのは、同じ対象の上で、移り変わる光を描き分けるためです。 シカゴ美術館は、光の効果を探ったモネのモチーフの中でも、積みわらはもっとも象徴的なものの一つだと説明しています。モネは一年のさまざまな時期、一日のさまざまな時刻に積みわらを描きました。

積みわらは形が単純で、動きません。だから並べてみると、一枚ごとの違いは、ほとんどが光の色や影の向きの違いとして目に入ります。

シカゴ美術館はもう一つ、モネにとって積みわらは、食べることと生き延びることを思わせる象徴でもあったと書いています。光の実験であると同時に、農村の暮らしを支える収穫物でもありました。

《積みわら(夏の終わり)》の基本情報

モネ《積みわら(夏の終わり)》の基本情報
項目内容
題名積みわら(夏の終わり)(Stacks of Wheat (End of Summer))
作者クロード・モネ(1840–1926)
制作1890–91年
技法・寸法油彩・カンヴァス、60 × 100.5 cm
所蔵シカゴ美術館(1985.1103)

英語ではHaystacksと呼ばれることもありますが、シカゴ美術館はStacks of Wheat(小麦の束を積み上げた山)という題名を使っています。所蔵館で探すときは、この英語の題名を使うと見つかります。

自宅のそばの畑と、何台ものイーゼル

描かれた積みわらは高さ15〜20フィート(約4.5〜6メートル)もあり、ジヴェルニーにあったモネの家のすぐ外に立っていました。

シカゴ美術館によると、モネはこの連作を畑と画室の両方で進めました。畑では何台ものイーゼルを並べて同時に描き、画室では画面全体の色の調和を整えました。

秋と冬で、積みわらの見え方が変わる

シカゴ美術館は、世界でいちばん多くモネの《積みわら》を所蔵しています。油彩だけで、次の6点があります。

  • 《積みわら(夏の終わり)》
  • 《積みわら(秋、一日の終わり)》
  • 《積みわら(日没、雪の効果)》
  • 《積みわら(雪の効果、曇りの日)》
  • 《積みわら(雪解け、日没)》
  • 《積みわら》

所蔵館は、見比べるときの手がかりを一つ挙げています。秋の絵では、ほぼすべてで積みわらの円錐形の頂が地平線を越え、空へ突き出しています。一方、連作の中心である冬の絵の多くでは、積みわらは丘と畑の帯に包まれ、冬を越すために寝かされているように見えます。

《積みわら(夏の終わり)》でも、右の大きな積みわらの頂は、奥の丘の線を越えて空に入っています。冬の絵と並べると、同じ形が季節によって空に向かったり、地面に沈んだりして見えます。

1891年、15点を一部屋に並べた展示

1891年5月、モネはパリのデュラン=リュエル画廊の小さな一室に、この連作から15点を隣り合わせに掛けました。シカゴ美術館は、この展覧会が批評でも売れ行きでも前例のない成功を収め、モネの経歴にとっても、フランス美術の歴史にとっても転機になったと説明しています。

作家で批評家のオクターヴ・ミルボーは、これらの作品が「大地のドラマ」を伝えていると書きました。

モネはこのあと、ポプラ並木、ルーアン大聖堂の正面、そしてのちにはジヴェルニーの自分の庭を連作にしていきます。庭の池を描いた連作については、モネの《睡蓮》は何枚あるかで数え方から説明しています。

《積みわら(夏の終わり)》を見る順番

  1. 左の小さな積みわらと、右の大きな積みわらの位置と大きさを比べる
  2. 右の積みわらの頂が、奥の丘の線を越えている場所を見つける
  3. 積みわらの日の当たる面と影の面で、色がどう違うかを見る
  4. 手前の地面に落ちる影の色を、積みわら自体の色と比べる
  5. 最後に空と丘を見て、一日のどの時刻の光に見えるかを考える

この絵は横長で、16:9のモニターでも切れる部分が少ないモネとして、モネの壁紙の記事でも紹介しています。印象派がなぜ光を追ったのかは、印象派とは何かで読めます。

季節ごとの光を、デスクトップで見比べる

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参考資料・掲載画像

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