ゴッホ《花咲くアーモンドの木の枝》は誰のための絵?意味と日本の版画
ゴッホ《花咲くアーモンドの木の枝》は、弟テオ夫妻に生まれた息子への贈り物でした。早春に咲くアーモンドの意味、日本の版画から借りた構図、絵と甥のその後を、ファン・ゴッホ美術館の資料で解説します。

青空を背に、白い花をつけたアーモンドの枝が広がる絵です。ゴッホは1890年2月、弟テオと妻ヨーに息子が生まれた知らせを受けて、この絵を二人への贈り物として描きました。赤ん坊には伯父と同じフィンセントという名前がつけられ、その子がのちにファン・ゴッホ美術館を設立します。
誰のための絵?弟夫妻に生まれた甥への贈り物
《花咲くアーモンドの木の枝》は、テオとヨーの間に生まれた息子フィンセント・ウィレムへの贈り物です。 所蔵するファン・ゴッホ美術館がそう説明しています。
誕生を知らせる手紙で、テオは兄にこう書きました。所蔵館の英訳から訳すと、「前に伝えたとおり、この子にはあなたの名前をつけます。あなたのように意志が強く、勇気のある子になってほしいと願っています」。
ゴッホはこのとき、サン=レミの療養院にいました。自分の名前を継ぐ甥のために描いた絵で、美術館は、家族がもっとも大切にした作品だったのも当然だと書いています。
《花咲くアーモンドの木の枝》の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 題名 | 花咲くアーモンドの木の枝(Almond Blossom) |
| 作者 | フィンセント・ファン・ゴッホ(1853–1890) |
| 制作 | 1890年2月、フランス南部サン=レミ=ド=プロヴァンス |
| 技法・寸法 | 油彩・カンヴァス、73.3 × 92.4 cm |
| 所蔵 | ファン・ゴッホ美術館(アムステルダム)、s0176V1962 |
日本語では《花咲くアーモンドの木の枝》のほか、《アーモンドの花》とも呼ばれます。英語の題名はAlmond Blossom、オランダ語ではAmandelbloesemです。所蔵館で画像や情報を探すときは、英語の題名と作品番号s0176V1962を使うと確実です。
なぜアーモンドの花?早春に咲く、新しい命のしるし
ファン・ゴッホ美術館によると、青空を背にした大きな花の枝は、ゴッホが好んで描いた主題の一つでした。アーモンドは春の早い時期に花を咲かせるため、新しい命の象徴とされます。
生まれたばかりの子どもへ贈る絵に、季節の最初に咲く花を選んだことになります。ただし、ゴッホがこの絵の意味を一言で説明した記録を、この記事では確認できていません。象徴としての読み方は所蔵館の説明に基づくもので、画家の言葉ではない点は分けておきます。
日本の版画から借りた、主題・輪郭・枝の置き方
美術館は、この絵の主題、くっきりした輪郭、画面の中での木の置き方を、ゴッホが日本の版画から借りたと説明しています。
実際に画面を見ると、地面も地平線もありません。枝は画面の端で切れ、平らな青い空の前に浮かんでいます。下から枝を見上げたようにも、一本の枝を間近で切り取ったようにも見えます。
花と枝は暗い線で縁取られ、空はほとんど一つの色の面として塗られています。同じゴッホでも、空が渦を巻く《星月夜》とはまったく違う静けさです。
絵と甥のその後:ファン・ゴッホ美術館ができるまで
来歴によると、ゴッホは1890年4月末、この絵をサン=レミからパリのテオへ送りました。テオが1891年1月25日に亡くなったあと、絵はヨーと息子のフィンセント・ウィレムが受け継ぎ、ヨーが1925年に亡くなるまで管理しました。
1962年、フィンセント・ウィレムはこの絵を含むコレクションをフィンセント・ファン・ゴッホ財団へ移します。1973年6月2日に美術館が開館し、絵は今もアムステルダムで見られます。生まれた日の贈り物が、その子の作った美術館に掛かっていることになります。
《花咲くアーモンドの木の枝》を見る順番
- 離れて見て、枝が画面のどこから入り、どこで切れているかを確かめる
- いちばん太い枝から細い枝へ、暗い輪郭線をたどる
- 開いた花とつぼみを探し、同じ白い花でも色の違いがあるかを見比べる
- 空の青が場所によって明るさを変えているかを見る
- 最後にもう一度離れて、枝全体が画面の外へ伸びていくように見えるかを確かめる
ゴッホのほかの作品をMacの画面で眺めたいなら、ゴッホの壁紙の記事にこの絵を含む作品をまとめています。ゴッホの花の絵では、《ひまわり》が何枚描かれたかも読めます。
青空と白い花を、デスクトップに
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参考資料・掲載画像
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