《アルノルフィーニ夫妻像》の女性は妊娠している?ドレス、鏡、署名から読む

ファン・エイク《アルノルフィーニ夫妻像》の女性は妊娠していません。ロンドン・ナショナル・ギャラリーの解説をもとに、膨らんで見えるドレスの理由、凸面鏡の二人、署名、一本の蝋燭、結婚証明書説が疑われる理由を、事実と解釈に分けて解説します。

Art4編集部読了 12分
ヤン・ファン・エイク《アルノルフィーニ夫妻像》。黒い大きな帽子の男性が右手を上げ、左手で緑のドレスの女性の手を取る。女性はドレスの布をお腹の前でたくし上げている。奥の壁に凸面鏡、上に真鍮のシャンデリア、足元に小さな犬
ヤン・ファン・エイク《アルノルフィーニ夫妻像》、1434年、ロンドン・ナショナル・ギャラリー。Wikimedia Commons、パブリックドメイン

ヤン・ファン・エイク《アルノルフィーニ夫妻像》の女性は、妊娠していません。所蔵するロンドン・ナショナル・ギャラリーは、お腹が膨らんで見えるのは、たっぷりした衣服を体の前でたくし上げているからだと説明しています。それでもこの絵の女性は、少なくとも1700年のスペイン王室の財産目録以来、「妊娠した女性」と書かれてきました。なぜそう見えるのか。どこまでが記録で、どこからが解釈なのか。この問いから入ると、奥の凸面鏡、壁の署名、昼の部屋で一本だけ灯る蝋燭、床に脱ぎ置かれた靴まで、絵の読み方が順に見えてきます。

答え:妊娠ではなく、長いドレスを持ち上げている

所蔵館の作品解説は、はっきり「妊娠していない」と書いています。そう見えるかもしれないと認めたうえで、女性は大きな衣服を体の前で持ち上げており、それは当時の女性がふつうにしていたことだ、と説明しています。

画面右の女性を上から見ていきます。白い頭巾、角のように結い上げた髪、その下に緑の上衣。胸のすぐ下に赤い細帯があり、そこから下の布がたっぷりと膨らんでいます。左手はその布の塊を、お腹の前で押さえています。布は手の下から床へ流れ、右下で長い裾になって広がっています。

衣服は上質な緑のウールで、白い毛皮で縁取られています。所蔵館は、白テンかリスの腹の毛皮の可能性を挙げています。袖には切り込み装飾が重なり、前腕からは青い下着がのぞきます。裾は床に大きく引きずるほど長く、持ち上げなければ立つことも歩くこともできません。

所蔵館の作品目録を書いたローン・キャンベルも、現代の目には妊娠して見えるかもしれないが、そうではない、と書いています。根拠の一つは、同じファン・エイクがドレスデンの三連祭壇画に描いた聖カタリナです。処女聖人である聖カタリナも、同じように衣服を持ち、体の輪郭もほぼ同じ形をしています。処女として崇められる聖人に同じ形が使われている以上、この膨らみだけを妊娠の証拠にはできません。

なぜ妊娠に見えるのか。読み違いは300年以上前からある

妊娠に見える理由は、画面の形と、見る側の習慣の両方にあります。

画面から確かめられるのは、次の三つです。帯の位置が胸のすぐ下にあり、腰のくびれが見えないこと。帯から下の布が前へ大きく張り出していること。そして女性の左手が、その膨らみの上に置かれていること。現代の私たちは、お腹に手を添える仕草を妊娠と結びつけやすいので、三つがそろうと自然にそう読んでしまいます。ここまでは観察と、見る側の連想です。

この読み違いは、最近の誤解ではありません。キャンベルによれば、1700年にスペイン国王カルロス2世が亡くなったあとの王室財産目録は、この絵を、若い男と緑の服を着た妊娠したドイツ人女性が手を取り合い、夜に結婚しているように見える場面と記しています。キャンベルは、目録の作成者が汚れた画面を暗い部屋で見たのだろうと推測し、昼間に灯った蝋燭のせいで夜の場面だと思い込んだと指摘しています。

その後も同じ読みは続きます。ジョゼフ・ボナパルトがスペイン王だった時期の1808年と1811年の目録も、女性を「妊娠した婦人」と書いています。このときは作者もファン・エイクではなく、ホルバインとされていました。19世紀にロンドンで公開されると、妊娠した「堕ちた女性」という物語がヴィクトリア朝の観客に好まれた、とキャンベルは書いています。

つまり「妊娠している」という説明は、絵が描かれた1434年の記録ではなく、のちの鑑賞者が重ねてきた読みです。同じ館が所蔵するホルバイン《大使たち》の髑髏も、見る位置によって形が変わる仕掛けとして知られています。《大使たち》の髑髏の解説とあわせて読むと、ロンドンの二枚がどちらも「何が見えているか」を問う絵だとわかります。

《アルノルフィーニ夫妻像》の基本情報

アルノルフィーニ夫妻像の基本情報
項目内容
作者ヤン・ファン・エイク(1441年没)
制作年1434年(壁の銘による)
技法油彩・板(おそらくオーク)
寸法82.2 × 60 cm
所蔵ロンドン・ナショナル・ギャラリー(NG186、1842年購入)
人物男性はおそらくジョヴァンニ・ディ・ニコラオ・アルノルフィーニ、女性はおそらくその再婚相手(名前は不明)

日本では《アルノルフィーニ夫妻像》のほか、《アルノルフィーニ夫妻の肖像》とも呼ばれます。所蔵館の英語題は The Arnolfini Portrait です。高さ82.2cm、幅60cmの板絵で、等身大ではありません。二人の全身、部屋、窓、ベッド、鏡が、一枚の小さな縦長の板に収まっています。

来歴は比較的よく追えます。最初に記録された持ち主はスペインの貴族ディエゴ・デ・ゲバラで、彼はこの絵をネーデルラントを治めたマルグリット・ドートリッシュに贈りました。1516年の目録では、彼女の所蔵品の最初に記載されています。その後、姪のハンガリー王妃マリアが1556年にスペインへ持ち帰り、スペイン王室の所蔵になりました。

ナポレオン戦争期にスペインを離れたと考えられており、英国の軍人ジェームズ・ヘイの手を経て、1842年にナショナル・ギャラリーが600ギニーで購入しました。2世紀半ほどスペイン王室にあったことは、あとで見る鏡の話にも関わります。

描かれた夫婦は誰か。名前が書き換えられた理由

男性の名前は、初期の目録に残っています。1516年の目録は「Hernoul le Fin」、1523〜24年の目録は「Arnoult Fin」と記しています。これがイタリアの商人一族アルノルフィーニを指すと考えられてきました。ただしキャンベルは、この呼び名が口伝えや最初の持ち主の言葉によるもので、確証ではないと断っています。

19世紀には、夫婦はジョヴァンニ・ディ・アリーゴ・アルノルフィーニと妻ジョヴァンナ・チェナーミだとされました。この組み合わせは長く通説になり、所蔵館も一時は名前に疑問符を付けて「ジョヴァンニ(?)・アルノルフィーニと妻ジョヴァンナ・チェナーミ(?)」と呼んでいました。

ところが、この説には年代の問題がありました。歴史家ジャック・パヴィオが見つけた記録によれば、ジョヴァンニ・ディ・アリーゴが結婚したのは1447年です。ブルゴーニュ公フィリップ善良公が、結婚の日に銀の壺2個を贈った記録が残っています。1447年は、壁に書かれた1434年の13年後で、ファン・エイクが1441年に亡くなった6年後です。1434年の絵に、この夫婦の結婚の場面が描かれているとは考えにくくなりました。

そこで注目されたのが、同じ一族のジョヴァンニ・ディ・ニコラオ・アルノルフィーニです。一族はイタリアのルッカの出身で、彼は1419年までにはブルッヘ(ブルージュ)に住み、フィリップ善良公に金襴や絹織物を売っていました。1426年1月23日に、当時13歳のコスタンツァ・トレンタと婚約しています。

ここで、もう一つ年代の問題が出てきます。コスタンツァの母は、1433年2月26日付のルッカからの手紙で、娘が亡くなったことに触れています。絵の銘は1434年です。そのため所蔵館は、女性を「おそらく再婚相手で、名前は不明」と説明しています。ただしキャンベルが書くとおり、二人目の妻についての記録はまだ見つかっていません。亡くなったコスタンツァを描いた追悼の肖像ではないか、という説も出されていますが、所蔵館の現在の説明はこの説を採っていません。

まとめると、男性はジョヴァンニ・ディ・ニコラオである可能性が高く、女性の名前はわかっていません。そして、どちらの候補でも1434年に結婚式が描かれたと考える材料はありません。

凸面鏡には、部屋に入ってくる二人が映っている

二人のあいだ、奥の壁の中央に丸い凸面鏡が掛かっています。鏡の中では部屋全体がゆがみ、夫婦の後ろ姿、左の窓、右のベッドが小さく映ります。さらに奥には開いた扉があり、そこから二人の男性が入ってくるところです。

キャンベルの目録によれば、前の人物は青い頭巾に青い衣、後ろの人物は赤い帽子に赤い衣を身につけています。前の人物は腕を上げているように見えます。拡大してみると、鏡の中の人物は数筆の色の点ほどの大きさしかありません。

この二人は誰なのか。所蔵館は「鏡の中の男たちは、訪ねてきたファン・エイク本人と従者だろうか」と問いの形で書いています。キャンベルも、前の人物がファン・エイクだと示唆されていると読んでいます。ただし、これは画面と署名から導いた推論で、文書で確かめられた事実ではありません。

鏡の枠には10個の小さな円形の絵がはめ込まれ、キリストの受難の10場面が描かれています。下の「ゲッセマネの祈り」から始まり、時計回りに「復活」まで進みます。キャンベルは、聖ベルナルドゥスがキリストの苦しむ体を魂の鏡と呼んだことに触れています。家の中の高価な鏡と、祈りの対象が一つの物にまとめられています。

鏡の大きさも見どころです。キャンベルの計算では、鏡のガラスは直径28cm以上あり、当時としてはきわめて大きなものです。アルノルフィーニが本当にこれほど大きな鏡を持っていたのか、画家が誇張したのかは、わからないとしています。

この絵はのちに2世紀半ほどスペイン王室にあり、1599年にはマドリードの王宮で記録されています。同じ王宮で描かれたベラスケス《ラス・メニーナス》にも、画面の外にいる人物を映す鏡があります。ベラスケスがこの絵を見て学んだと書いた文書はありませんが、二枚の鏡を比べる見方はよく語られます。《ラス・メニーナス》の鏡と国王夫妻の解説で、もう一方の鏡を確かめられます。

「ヤン・ファン・エイクここにありき 1434」の署名

鏡のすぐ上の壁に、飾り文字のラテン語が書かれています。「Johannes de eyck fuit hic 1434」。所蔵館は「ヤン・ファン・エイクはここにいた。1434年」と訳しています。日本語では「ヤン・ファン・エイクここにありき」と紹介されることが多い一文です。

キャンベルは、画家の署名を絵の中の壁に書くこと自体が「まったく例外的」だと述べています。ふつう署名は額縁や画面の端に置かれます。ここでは、部屋の壁に直接書かれた落書きのように見えます。

この署名は、鏡と縦に並んでいます。上には「ここにいた」という文字があり、下の鏡には部屋へ入ってくる人物が映っています。二つを合わせると、画家がその場に立ち会ったことを、文字と像の両方で示しているようにも読めます。ここからが解釈の領域です。

かつては、この署名を「ヤン・ファン・エイクがこの男だった」と読み、描かれた夫婦をファン・エイク本人と妻マルガレーテとする説もありました。キャンベルはこの読み方を受け入れられないとし、男性の顔は画家の自画像と考えられている作品にも似ていないと指摘しています。

また、署名を結婚の立会人の証明と見る説については、次のように反論しています。凝った書体は装飾的な銘文全般に使われたもので、法的文書に特有のものではなく、「fuit hic」という言い回しも法的文書には現れない、というのです。この点は、のちの結婚証明書説の検討につながります。

蝋燭、オレンジ、犬、靴、ベッドは何を示すのか

アルノルフィーニ夫妻像の主な物と、確かめられることと解釈
物場所資料で確かめられること解釈
蝋燭上部のシャンデリア6本腕の真鍮製。昼の室内で、火がともるのは1本だけパノフスキーは「婚礼の蝋燭」と呼んだが、根拠は示されていない
オレンジ左の窓辺と、その下の箱当時は高価な果物所蔵館は夫妻の富を示す物と説明
犬二人の足元小さな茶色の犬。下描きの段階ではいなかった結婚の忠実さの象徴とも、ただの飼い犬とも読める
脱いだ靴左下と、奥の床男性の木底の外履きと、女性の赤い革の外履き「聖なる場所で靴を脱いだ」とする読みは疑問視されている
ベッド画面右家で最も高価な家具。客を迎える部屋に置かれた寝室の場面ではない
聖マルガリタ像鏡の右、椅子の背もたれ出産の守護聖人とされる聖女の像出産への願いと読む余地はあるが、妊娠の証拠ではない

まず上を見ます。天井から下がる6本腕の真鍮のシャンデリアには、火のついた蝋燭が1本だけあります。左の窓から日の光が入っているのに、です。所蔵館の音声解説は、もう1本、吹き消された蝋燭があるとも説明しています。一本の炎は象徴として多く語られてきましたが、意味を説明した同時代の記録は知られていません。

左の窓辺に1個、その下の箱の上にも数個のオレンジが置かれています。所蔵館によれば当時は高価な果物で、無造作に置かれていること自体が裕福さを示しています。所蔵館は、部屋の物が「夫妻の富と社会的地位を示すよう慎重に選ばれている」と説明し、それでいて貴族をまねたと批判されない程度に抑えられている、と書いています。

二人の足元には小さな茶色の犬がいて、こちらを見ています。所蔵館の音声解説は、犬は結婚における忠実さの一般的な象徴だったと説明します。一方でキャンベルは「明らかに家の飼い犬」と書いています。二つの見方は矛盾しません。実際の飼い犬を描いた像が、同時に忠実さの連想を帯びることはあり得ます。

左下の床には、男性が脱いだ木底の外履きがあり、泥がついています。もう一足、奥の床に女性の赤い革の外履きがあります。どちらも屋外で靴の上に履く履き物で、室内に入って脱いだものです。

右側の赤いベッドを見て、寝室の場面だと思う人も多いでしょう。所蔵館は、ここは寝室ではなく客を迎える部屋で、ベッドは家で最も高価な家具として欠かせない調度だったと説明しています。

最後に、鏡の右の椅子の背もたれを見てください。小さな聖女の彫刻があります。キャンベルは竜とともに祈る聖マルガリタと見ています。所蔵館の用語集は、聖マルガリタを出産の守護聖人と説明し、この絵の像にも触れています。ここに子どもへの願いを読むことはできますが、それは画中にある像の意味であって、女性がいま妊娠している証拠にはなりません。

「結婚の証明書」という説は、なぜ疑われているのか

20世紀に最も影響力をもった解釈は、美術史家エルヴィン・パノフスキーが1934年に発表した論文によるものです。パノフスキーは、この絵をジョヴァンニ・ディ・アリーゴとジョヴァンナ・チェナーミの、二人だけの結婚の場面と読みました。鏡の二人は立会人、壁の署名は立会人の証明、男性の上げた手は宣誓の身振りだとし、蝋燭や脱いだ靴にも結婚の意味を読んで、絵全体を「絵による結婚証明書」と呼びました。

この説はわかりやすく、長く広まりました。しかし現在、所蔵館は「長く結婚の儀式を描いたものと理解されてきたが、いまはそうではない」と説明しています。疑われている理由は、少なくとも五つあります。

  1. 人物の問題:パノフスキーが想定した夫婦は、1447年まで結婚していない
  2. 身振りの問題:パノフスキーが宣誓の手を指すとした用語は、キャンベルによれば彼自身が作ったもの。所蔵館は、男性の手を「挨拶をしているらしい」と説明している
  3. 署名の問題:書体は装飾的な銘文一般のもので、「fuit hic」は法的文書に現れない
  4. 部屋の問題:ここは客を迎える部屋で、鏡の二人は訪問者と読む方が自然
  5. 制作の問題:象徴とされた物の多くは、下描きの段階では描かれていなかった

身振りについては、画面でも確かめられます。二人がつないでいるのは、男性の左手と女性の右手です。女性は男性の手のひらに、自分の手を軽くのせています。キャンベルは、結婚や婚約を描いたとする仮説は退けてよいと結論し、この絵を物語性のない、ジョヴァンニ・ディ・ニコラオと再婚相手の肖像として扱うべきだとしています。

ただし、「結婚」の読みもまた古いものです。1599年にマドリードの王宮でこの絵を見た旅行者は、若い男女が将来の結婚を約束しているように手を取り合っている、と書き残しました。当時の額にはオウィディウス『恋の技法』から、約束をめぐる詩句が書かれていましたが、所蔵館はこの銘文が元からのものではなかったと見ています。妊娠の読みと同じく、結婚の読みも、絵の外から重ねられてきた説明です。

夫婦を一枚に描いた肖像なので、結婚と無関係な絵とまでは言えません。確かなのは、結婚式の記録として読む根拠が崩れた、ということです。

赤外線で見た下描きは、象徴が後から加わったことを示す

赤外線反射撮影を使うと、絵具の下にある下描きが見えます。所蔵館のレイチェル・ビリンジとローン・キャンベルは1995年、この絵の赤外線画像を研究誌に発表しました。顔、手、足の位置に多くの変更があり、象徴の中心と考えられてきた建築の細部の多くが、下描きなしで遅い段階に描かれていたことがわかりました。

所蔵館の作品ページによれば、下描きは段階を追って描かれました。最初の段階には、犬、シャンデリア、椅子、数珠、脱いだ靴がありませんでした。女性ははじめ、顔を上げて男性を見ていました。キャンベルの目録も、オレンジ、数珠、二足の外履き、犬、シャンデリアには下描きが見つからないと書いています。男性の右手も、はじめはもっと左にあり、手のひらを見せていました。

これは、物に意味がないことを証明するものではありません。ただ、最初から結婚の象徴を組み合わせて設計した、というパノフスキーの描いた筋書きとは合いません。犬もオレンジも靴も、画家が制作の途中で部屋に加えた物です。

鏡の左には琥珀の数珠、右にはブラシが掛かっています。所蔵館は、数珠に映る光や、絵具を引っかいてブラシの毛を描いた技法には触れていますが、意味は説明していません。説明されていないことを無理に読まないのも、この絵に向き合う一つの方法です。

《アルノルフィーニ夫妻像》を見る順番

  1. 女性の左手と、たくし上げた緑の布を見る。布を床まで追い、右下の裾の長さを確かめる
  2. 二人がつないだ手へ移る。男性の左手と女性の右手、そして男性の上げた右手を見比べる
  3. 奥の鏡を拡大し、扉から入ってくる青と赤の二人を探す
  4. 鏡の枠の10場面を、下の「ゲッセマネの祈り」から時計回りにたどる
  5. 鏡の上の署名と「1434」を読む
  6. シャンデリアを見上げ、火のついた蝋燭を数える
  7. 床へ下り、犬、左下の外履き、奥の赤い外履きを見つける
  8. 最後に、椅子の背もたれの聖マルガリタ像と右のベッドを見て、全体へ戻る

妊娠かどうかという問いは、女性の手元から始まります。けれども手元を見るほど、鏡、署名、蝋燭、靴へと目が移ります。最初の誤解が、絵を細部まで見るきっかけになるわけです。見えたものと、資料で確かめられることと、解釈を分ける方法は、《天秤を持つ女》の空の皿を確かめる記事でも使っています。

Macの壁紙にするときは、縦横比に注意が必要です。この絵は幅が高さの約0.73倍の縦長で、16:10の横長の画面を埋めると、残るのは絵の高さの半分以下(約46%)です。中央で切り抜くと、二人の顔より下から始まり、鏡も上側が欠けます。顔、鏡、署名を残すように上へずらすと、今度は上の蝋燭と、下の犬と二足の靴が消えます。この記事で見てきた手がかりの多くが、どちらかで失われます。余白を残して全体を表示するか、縦向きのディスプレイで使う方が向いています。MacBookの壁紙解像度とクロップでは、画面比率と切れ方の関係を詳しく説明しています。

鏡の中の二人まで、全体のまま眺める

Art4では《アルノルフィーニ夫妻像》を含むパブリックドメインの名画を、作品情報とともにMacの壁紙として楽しめます。毎日見るたび、布、鏡、蝋燭、靴へと、別の順番で目を向けられます。

参考資料・一次資料

名画を、Macの壁紙に。

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